「前から興味のあった分野を学んでみたいけど、お金がない..」「エンジニアやプログラミングの独学にチャレンジしたけど挫折した。今度はちゃんとスクールで学んでみたい」このように、社会人になってからでも学びたいと思っている方は少なくないのではないでしょうか。
人生100年時代とも言われる現代ではさまざまなことが目まぐるしく日々変化しており、取り残されないためには常にスキルアップで自分自身をアップデートする必要があります。その中で活用したいのが、「教育訓練給付金」と呼ばれる制度。スキルアップやキャリアアップに必要な費用の一部を国が補填してくれるお得な制度であり、活用しない手はないと言えるでしょう。
本記事では主に「一般教育訓練給付金」について、制度の詳細と手続き方法について解説していきます。
教育訓練給付金とは?
教育訓練給付金とは、雇用保険加入者が職業能力向上や再就職を目的に受講した講座(プログラム)の費用の一部を、国が負担するというもの。雇用保険法においては失業等給付の一つとされています。
教育訓練給付制度とは、働く方々の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図ることを目的として、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、受講費用の一部が支給されるものです。
厚生労働省 ホームページより
厚生労働大臣指定の講座に限られますが、こんな制度が利用できるのであればお得に活用する手はないですよね!
ちなみに教育訓練給付金は、希望する講座内容によって3種類に分かれています。
給付金 | 目的 | 給付金割合 | 対象資格 |
一般教育訓練給付金 | 資格取得・スキルアップ支援 | 受講費用の20%(上限10万) | 簿記・保育士・社会福祉士・インテリアコーディネーター・行政書士・宅地建物取引士など |
特定一般教育訓練給付金 | キャリアアップ支援 | 受講費用の40%(上限20万) | 社会保険労務士・宅地建物取引士・介護福祉士・中型自動車免許など |
専門実践教育訓練給付金 | 長期的キャリア育成支援 | 受講費用の最大70%(年間上限56万) | 介護福祉士・看護師・保育士・歯科衛生士・理学療法士・美容師・栄養士・調理師など |
この中で最も一般的なものが「一般教育訓練給付金」であり、資格を生かしてキャリアップ・スキルアップを図ることが可能となっています。
教育訓練給付金の対象講座(指定講座)はどんなものがある?
教育訓練給付金の対象講座や資格は、ハローワークや厚生労働省のホームページで閲覧できます。具体的な対象講座や資格は年度ごとに異なりますが、以下に代表的なものを示します。
IT・プログラミング関連
- プログラマー
- ネットワークスペシャリスト
- セキュリティスペシャリスト
- システムアドミニストレーター
- データサイエンティスト
医療・介護関連
- 看護師
- 医療事務
- リハビリテーション関連の資格
- 介護福祉士
経理・財務関連
- 簿記
- 公認会計士
- 税理士
観光・接客関連
- ホテル・旅館業務
- 観光地域活性化
その他
- 不動産鑑定士
- 社会保険労務士
- ビジネスマナー
ただし、教育訓練給付金の対象講座や資格は、地域によって異なる場合がありますし、対象講座や資格は年度ごとに変更されることがあるため、詳細は各都道府県労働局や雇用保険事業者に確認する必要があります。
代表的なものではエンジニア・プログラミングスクールが有名ですよね。私はインテリアコーディネーター養成講座で利用しました!
教育訓練給付金の支給額はいくら?上限額は?
一般教育訓練給付金の支給額は、厚生労働省のホームページによると教育訓練経費の20%(上限10万円)とされています。ただし、その20%に相当する額が4,000円を超えない場合は支給されないようです。
受講料総額が50万円を超える場合は上限の10万円が、50万円を下回る場合は総額の20%が戻ってくるイメージですね!
教育訓練給付金の受給条件
このようにありがたい仕組みである教育訓練給付金ですが、指定講座を受講すれば誰でももらえるわけではありません。ここでは、一般教育訓練給付金の場合を例に挙げてみましょう。
厚生労働省管轄のハローワークホームページには、以下のように記されています。
受講開始日現在で雇用保険の支給要件期間が3年以上(初めて支給を受けようとする方については、当分の間、1年以上)あること、受講開始日時点で被保険者(※1)でない方は、被保険者資格を喪失した日(離職日の翌日)以降、受講開始日までが1年以内(適用対象期間の延長が行われた場合は最大20年以内)であること、前回の教育訓練給付金受給から今回受講開始日前までに3年以上(※2)経過していることなど一定の要件を満たす雇用保険の被保険者(在職者)又は被保険者であった方(離職者)が厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講し修了した場合に支給。
厚生労働省 ハローワークインターネットサービス
つまり、指定講座の受講開始日に雇用保険の被保険者期間が通算3年以上(初めて給付金を申請する場合は通算1年以上でOK)の加入があれば、基本的に受給の対象となります。
ただし、受講開始日に離職中の場合は、退職日の翌日から1年以内に受講を開始しなければ対象外となってしまいますので注意しましょう。
教育訓練給付金の申請方法
教育訓練給付金の申請方法
教育訓練給付金の申請手続きは、基本的に講座受講後に受講者自身で行う形になります。
講座を開催している教育機関や団体に予め必要書類を用意しておいてもらい、講座終了のタイミングと同時に書類を引き取り→ハローワークに手続きに行くイメージです。
この時気を付けておきたいのが、下記2点です。
・ハローワークは自分の居住地域を管轄する支店窓口でないと受け付けてもらえない
・ハローワークでの申請期間は、受講修了日の翌日から1カ月以内の平日のみ
私の場合、受講講座は4/1開始〜翌年3/31修了の1年間コース。ハローワークでの手続き可能期間は、修了後の翌営業日4/3(月)〜4/28(金)でした!
意外と申請期間が短いのと、窓口が平日しかやっていないので在職中の方は注意しましょう。
教育訓練給付金申請の必要書類・持ち物
ハローワークでの一般教育訓練給付金申請時、基本的に必要な書類と持ち物は以下のようになっています。
- 教育訓練修了証明書(教育機関からもらえます)
- 領収書(教育機関からもらえます)
- 教育訓練給付金支給申請書(上記2つの書類をもとに、黒ボールペンで記入しましょう)
- マイナンバー確認書類(マイナンバーカードなど)
- 本人確認書類(健康保険証など)
- 希望の振込銀行口座のキャッシュカード
この時、引っ越しや入籍などで住所や名前が変更となっており、教育機関発行書類と現状に相違がある場合、当日窓口でその旨を説明し本人確認書類と照合・証明することで対応してもらえるようです。
ただ場合によっては書類の再発行が必要になる場合もあるようですので、念の為事前にハローワークに電話し、確認しておくと安心です。
私は入籍で名前が変わったのですが、教育機関の発行書類が旧姓のままになっていました。念のため事前にハローワークに電話確認したところ(なかなか電話がつながりませんでした..笑)、その場で確認が取れれば問題ないとのことでしたので、名前変更の経緯がわかるマイナンバーカードを持参・提示し確認してもらえました!
教育訓練給付金のハローワーク手続き所要時間はどれぐらい?
気になるのが、ハローワークでの手続き所要時間。窓口が平日しかやっていないので、在職中の方はできるだけ有休を使わずに調整したいところですよね。
時間帯やタイミングにもよるようですが、基本的に朝イチなど朝の早い時間であればほとんど待つことなくすぐに案内してもらえるようです。
私は金曜日の朝9時過ぎに着いたのですが、番号札を引くとすぐに呼ばれ(待ち時間1分)、手続き自体は10分ほどで終わりました!
ただし、午後やクローズギリギリの時間帯は混み合うようで、30分待ちの場合もある模様。なるべく早く済ませたい方は、朝イチ(8時半からオープンしているところが多いようです)で行くようにすると安心でしょう。
教育訓練給付金はいつ振り込まれる?
教育訓練給付金は、申請から1〜2週間で指定の口座に振り込まれる形になります。
ただし、住所変更や氏名変更など、確認が必要な場合はもう少し長くかかるようですが、それでも数週間程度で振り込まれるケースが多いようです。
たとえば4月中旬にハローワークで手続きした場合、ゴールデンウィーク前後には振り込まれる形となります!
教育訓練給付金にまつわるあれこれ
教育訓練給付金は在職中でももらえる?
「教育」という名前がついていると、在職中の社会人でももらえるのかどうか気になるところですよね。
結論、どの給付金を利用するのかにもよりますが、代表的な「一般教育訓練給付金」の場合は在職中でももらえます。そもそもの主旨が「個人のスキルアップ・キャリアアップ」なので、就労の有無に関わらず利用すること自体は可能です。ただし前述の通り、支給条件は「雇用保険の支給要件期間=3年または1年以上社員として雇われた期間があるかどうか」となりますので、注意するようにしましょう。
一方、「教育訓練支援給付金」の場合は逆であり、失業中であることが支給の条件となっていますので、自分が適用したい給付金がどれに該当するのかを予めしっかり確認しておくようにしましょう。
教育訓練給付金は2回目でももらえる?
一般教育訓練給付金は、「過去に一度もらってるからもうもらえない」といった回数制限や年齢制限はありません。過去の支給から3年以上空ける(前回の受講開始日以降で3年以上雇用保険に加入する)という条件さえ満たせば、基本的に誰でも受給資格があることになります。
ただし、教育訓練支援給付金は一度のみとなる点に注意しましょう。
教育訓練給付金制度で賢くスキルアップを目指そう
いかがでしたか?スキルアップやキャリアアップの費用がお得になる、教育訓練給付金制度について解説しました。需要が高く、人材の普及が追いついていない専門人材は特に重宝されるため、支援金額も高くなる傾向にあります。
自分がこの先どうなりたいのか、長期的なビジョンをもとにスキルアップ・キャリアアップを図る上では、利用しない手はありません。学費ローンと合わせることで、さらに月々の負担を抑えることも可能ですので、気になった方はぜひ希望講座が対象講座になっているかどうか確認してみてはいかがでしょうか。
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【この記事を書いた人】
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